【2026年7月19日 現在進行中】 現時点での逮捕容疑は死体遺棄のみ。三重県警は殺人容疑も視野に、2人が死亡した経緯を調べている。遺体の身元は司法解剖・DNA鑑定による正式確認が進められている。
山中の川岸で見つかった2つの遺体
2026年7月17日、奈良市月ヶ瀬尾山——三重県との県境に近い山あいを流れる名張川の左岸で、女性2人の遺体が発見された。
遺体はいずれもビニールシートにくるまれた状態だった。発見場所は名張川に沿って走る道路の近く。川の両岸は山林で、周辺に人家はない。死亡から相当の時間が経過しており、遺体は激しく傷んでいた。
同日、三重県警はこのうち1人の遺体を遺棄したとして、奈良市法蓮町の会社員・今北享宏容疑者(37)を死体遺棄容疑で逮捕した。
逮捕容疑は2月上旬、名張川の川岸に女性1人の遺体を遺棄した疑い。今北容疑者は「間違いありません」と容疑を認め、もう1人の遺棄にも関与したという趣旨の供述をしている。
遺体発見は偶然ではなかった。今北容疑者の供述に基づいて県警が捜索した結果、2遺体が見つかったのだ。
行方不明の母娘——44歳の女性と20歳の大学生の娘
県警が身元の特定を急いでいるのは、**三重県伊賀市に住む女性(44)とその娘(20)**だ。
母娘は2月10日から行方が分からなくなっていた。
異変が公になったのは2か月後だった。4月中旬、娘が通う大学から「行方が分からない」との通報が県警に寄せられた。さらに5月中旬には伊賀市役所から母親の安否確認の要請があった。
県警は5月下旬、伊賀署に特別捜査本部を設置。捜査の過程で母親の交際相手として今北容疑者が浮上し、7月14日以降、任意で事情聴取を進めていた。
そして17日——今北容疑者の供述をもとにした捜索で2遺体が発見され、逮捕に至った。
「不倫関係」だった容疑者と母親
捜査関係者への取材で判明している重要な事実がある。
今北容疑者は既婚者であり、死亡した母親とは不倫関係にあったという。
37歳の会社員と44歳の女性。奈良市と伊賀市——県境を挟んで隣接する地域に住む2人の関係が、いつから始まり、どのような経緯をたどったのかは、今後の捜査で明らかにされていく。
そして最大の謎は、なぜ「娘」まで死亡しているのかという点だ。
母親との関係のもつれが事件の背景にあるとしても、20歳の大学生の娘が巻き込まれた理由は現時点で全く明らかになっていない。母娘が同じ2月10日から行方不明になっている事実は、2人が同時期に、同じ場所で何らかの事態に遭遇した可能性を示唆する。
「1人で遺棄した」——供述の意味
7月18日、捜査関係者への取材で新たな供述内容が判明した。
今北容疑者は「1人で遺棄した」という趣旨の供述をしているという。
この供述が事実であれば、共犯者はいないことになる。しかし同時に、疑問も生じる。成人女性2人の遺体をビニールシートにくるみ、車で山中まで運び、川岸に遺棄する——これを単独で実行することは物理的に可能ではあるが、相当の労力と時間を要する。
県警は遺棄の方法や使用した車両、移動経路について詳しく調べを進めている。
5か月間の「空白」——遺体はなぜ見つからなかったのか
この事件で注目すべきは、遺棄から発見まで約5か月が経過している点だ。
逮捕容疑となった遺棄の時期は2月上旬。発見は7月17日。名張川沿いの道路近くという、完全な山奥ではない場所にありながら、5か月間、誰にも発見されなかった。
これは遺棄場所の選定に「土地勘」が働いていた可能性を示す。川の両岸は山林で人家はなく、人の往来がほとんどない場所——奈良市在住の今北容疑者が、なぜこの場所を知っていたのかも捜査のポイントになる。
月ヶ瀬は梅林で知られる観光地だが、事件現場の尾山地区は観光ルートから外れた静かな山あいだ。地元住民以外がふらりと立ち入る場所ではない。
今後の捜査——殺人容疑への切り替えはあるか
読売新聞によると、県警は今北容疑者が死亡の経緯も知っているとみて、殺人容疑も視野に調べを進めている。
現時点で死因は特定されていない。遺体の損傷が激しいため、司法解剖でどこまで死因に迫れるかが捜査の分かれ目になる。
京都・南丹市の事件(安達結希さん事件)でも見られたように、遺体の腐敗が進んでいる場合、死因が「不詳」のまま死体遺棄罪のみでの起訴となるケースもある。一方で、容疑者の供述や物的証拠(凶器・血痕・車両の痕跡など)が揃えば、殺人罪での立件は可能だ。
捜査の焦点は以下の点に絞られる。
- 母娘の死因と死亡時期の特定
- 2人が死亡した場所(自宅か、別の場所か)
- 母娘同時死亡の経緯——なぜ娘まで巻き込まれたのか
- 不倫関係のもつれ・トラブルの有無
- 「1人で遺棄した」という供述の裏付け
事件概要
| 項目 | 内容(2026年7月19日時点) |
|---|---|
| 遺体発見日 | 2026年7月17日 |
| 発見場所 | 奈良市月ヶ瀬尾山・名張川左岸の川岸 |
| 遺体の状態 | 2人ともビニールシートにくるまれた状態・死後相当期間経過 |
| 身元(推定) | 三重県伊賀市の女性(44)とその娘(20・大学生) |
| 行方不明時期 | 2026年2月10日から |
| 逮捕者 | 今北享宏容疑者(37)、奈良市法蓮町・会社員・既婚 |
| 逮捕容疑 | 死体遺棄(2月上旬、女性1人の遺体を遺棄した疑い) |
| 供述 | 容疑を認め「もう1人の遺棄にも関与」「1人で遺棄した」 |
| 関係 | 容疑者と母親は不倫関係 |
| 捜査体制 | 伊賀署に特別捜査本部(5月下旬設置) |
| 今後の焦点 | 殺人容疑での立件・死因特定・娘が巻き込まれた経緯 |
母娘の無念——「気づかれなかった」5か月
この事件でもうひとつ見逃せないのは、母娘の行方不明が公的機関に認知されるまでの時間だ。
2月10日に行方不明になってから、大学の通報(4月中旬)まで約2か月。市役所の安否確認要請(5月中旬)まで約3か月。
大学生の娘が2か月以上大学に姿を見せず、母親も市役所の手続き等から姿を消していたにもかかわらず、警察への通報がこれほど遅れた——家族構成や近隣・親族との関係など、母娘が置かれていた社会的状況も、この事件の背景として今後注目されるだろう。
もし、より早く捜索が始まっていれば——遺体の損傷が進む前に発見され、死因の特定が可能だったかもしれない。
三重県警の捜査は、これからが本番だ。
【編集部注】
本記事は2026年7月19日時点の報道に基づきます。今北享宏容疑者の現時点での逮捕容疑は死体遺棄であり、殺人罪で立件されたわけではありません。また遺体の身元は司法解剖・DNA鑑定による正式確認が完了しておらず、「伊賀市の母娘とみられる」という段階です。捜査の進展により内容を随時更新します。
お亡くなりになったお2人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
初出:2026年7月19日 / 未解決ジャーナル編集部



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