「後継者」が仕組んだ二重の殺人——東広島殺人放火・三原生き埋め事件 義理のおい・倉本幹太容疑者(29)再逮捕で全容が見えた

Uncategorized

未解決ジャーナル編集部

【2026年7月19日 最新情報】 2月の東広島市殺人放火事件で、広島県警は7月17日、被害者の義理のおい・倉本幹太容疑者(29)を殺人・現住建造物等放火などの疑いで再逮捕した。実行役とされる徳田雅希さん(29)は6月に三原市で「生き埋め」により殺害されており、倉本容疑者はその強盗殺人罪で同日起訴された。5か月にわたって広島県東部を揺るがせた2つの事件は、1人の男を中心とする「二重の殺人」として結びついた。


5か月前の「2つの事件」——本記事までの経緯

まず、これまでの流れを整理する。

2026年2月16日午前3時35分ごろ、東広島市黒瀬春日野の住宅で火災が発生。この家に住むリフォーム会社経営の**川本健一さん(当時49)**が、全身にやけどを負い、首を複数回刺されて死亡した。妻も頭部を殴られ、やけどを負ったが一命をとりとめた。妻は「男に頭から灯油のようなものをかけられた」と証言していた。

4月29日、東広島の事件捜査の過程で得た情報をもとに、県警が三原市沼田の会社敷地内を捜索。土中から**徳田雅希さん(当時29)**の遺体が発見された。

当時の「未解決ジャーナル」の記事では、川本さんの会社が三原市の遺体発見現場近くで改修工事を請け負っていたという「接点」を指摘したが、2つの事件の関係は闇の中だった。

その全体像が、ついに明らかになった。


逮捕された「義理のおい」——会社の後継者と目された男

7月17日、広島県警が殺人・現住建造物等放火などの疑いで再逮捕したのは、広島市南区の無職・倉本幹太容疑者(29)

倉本容疑者は川本さんの妻のおい——つまり被害者夫妻の親族だった。それだけではない。川本さんのリフォーム会社の元従業員として営業などを担当し、さらに会社の「後継者」と目されていた人物だったのだ。

県警の会見では「凶悪かつ残忍な事件」という強い表現が使われた。

再逮捕容疑は、今年2月、徳田雅希さんと共謀して東広島市の住宅に火を放ち、川本健一さんの首を刺して殺害するなどした疑い。倉本容疑者は調べに対し「私ではありません」と容疑を否認している。


明らかになった犯行の実態——ガソリン・包丁・ウィスキー瓶

警察の発表により、2月16日未明の犯行の詳細が明らかになった。

実行役とみられるのは徳田雅希さんだった。徳田さんは住宅に侵入し、川本さん夫妻の身体にガソリンをまいて火を放ち、住宅の壁や天井に燃え移らせた。さらに川本さんの首などを包丁で数回突き刺し、妻の頭を瓶のようなもので殴ったとみられている。

凶器の特定は、現場遺留物からのDNA鑑定などによる。使用されたのは住宅にあった包丁とウィスキーの瓶だった。凶器を持ち込まず現場で調達した形だ。

徳田さんは三原市でかつて鉄工業を営み、「真面目でよく仕事をする人」と評されていた人物だ。その徳田さんがなぜ実行役となったのか——鍵は倉本容疑者との関係にある。

県警は7月19日、徳田さんについても殺人や放火などの疑いで、容疑者死亡のまま書類送検する方針だ。


動機——発覚寸前だった「3800万円詐取」と「8000万円のギャンブル損失」

倉本容疑者はなぜ、義理のおじ夫妻の殺害を企てたのか。

捜査で浮かんだ動機は、だった。

倉本容疑者は、勤務していた川本さんのリフォーム会社などから約3800万円をだまし取っていたとみられている。そして、その発覚を免れようと考え、川本さん夫妻の殺害を計画した疑いが持たれている。

背景にはギャンブルがあった。捜査関係者によると、倉本容疑者はインターネットで競輪やオートレースの車券を繰り返し購入し、2025年5月以降、約8000万円の損失を抱えていたという。

「後継者」と目されるほど信頼されていた親族が、会社の金をだまし取り、ギャンブルで溶かし、その発覚を防ぐために経営者夫妻の殺害を企てる——信頼関係の裏で進行していた転落の構図だ。


「口封じ」の生き埋め——共犯者・徳田さんの最期

事件はこれだけでは終わらなかった。

県警は6月29日、倉本容疑者を別の強盗殺人容疑で逮捕していた。その内容は戦慄すべきものだった。

借金を免れるため、知人の徳田雅希さんを三原市の会社敷地内に生き埋めにして窒息死させた——という容疑だ。

徳田さんは、東広島事件の「実行役」だった。つまり県警は、倉本容疑者が共犯者である徳田さんを「口封じ」のために殺害したとみている。

3月上旬、徳田さんは取引先に「体調不良で休む」と連絡した後、消息を絶った。徳田さんの遺体が発見されたのは、徳田さん自身がかつて鉄工業を営んでいた三原市沼田の会社敷地内——土地勘のある場所が、皮肉にも自らの埋葬場所となった。

広島地検は7月17日、倉本容疑者を徳田さんに対する強盗殺人の罪で起訴した。


事件の全体構図——1人の男を中心とした「二重の殺人」

今回の再逮捕により、5か月間断片的だった情報が1つの構図としてつながった。

【第1の事件】2月16日・東広島市

  • 主犯格(疑い):倉本幹太容疑者(計画・共謀)
  • 実行役(疑い):徳田雅希さん(侵入・放火・刺殺)
  • 標的:川本健一さん夫妻
  • 動機:会社などからの約3800万円詐取の発覚を防ぐため
  • 結果:川本さん死亡、妻は重傷を負うも生還

【第2の事件】3月上旬〜・三原市

  • 実行者(起訴済み):倉本幹太容疑者
  • 被害者:徳田雅希さん(第1の事件の実行役)
  • 手口:会社敷地内に生き埋めにして窒息死させる
  • 動機:借金を免れるため・口封じ
  • 結果:徳田さん死亡、4月29日に遺体発見

第1の事件で共犯だった2人の関係は、わずか2〜3週間後には「殺す者」と「殺される者」に変わった。徳田さんが実行役を引き受けた経緯——報酬の約束か、借金関係か、あるいは別の力学か——は、今後の捜査・公判で明らかにされるべき最大の焦点だ。


残された謎

全体構図が見えた今も、未解明の点は多い。

①徳田さんはなぜ実行役になったのか。 倉本容疑者と徳田さんの間にどんな関係・貸借があったのか。「借金を免れるため」という三原事件の動機は、倉本容疑者が徳田さんに借金をしていた可能性を示唆する。実行役の報酬として借金帳消しが約束されていたとすれば、口封じと借金解消を一挙に図った計算になる。

②妻はなぜ生き残ったのか。 犯行は夫妻双方の殺害を狙ったとみられるが、妻は重傷を負いながら屋外に逃れ、近隣に助けを求めた。この生存者の証言が、初動捜査の方向を決定づけた可能性が高い。

③「私ではありません」という否認の行方。 倉本容疑者は東広島事件について否認している。DNA鑑定で実行役は徳田さんと特定されている以上、争点は「共謀」の立証になる。徳田さんが死亡している今、共謀を直接証言できる人物はいない。携帯電話の通信記録・金銭の流れ・移動履歴などの客観証拠が公判の鍵を握る。


事件概要(2026年7月19日時点)

項目内容
再逮捕日2026年7月17日
再逮捕容疑殺人・現住建造物等放火など(東広島事件)
容疑者倉本幹太(29)、広島市南区・無職
被害者との関係川本さんの妻のおい・リフォーム会社元従業員・「後継者」と目される
供述「私ではありません」(否認)
実行役徳田雅希さん(29)=DNA鑑定で特定・被疑者死亡のまま書類送検へ
凶器住宅にあった包丁・ウィスキーの瓶/ガソリン
東広島事件の動機(疑い)会社等からの約3800万円詐取の発覚を防ぐため
ギャンブル損失競輪・オートレースで2025年5月以降 約8000万円
三原事件徳田さんを生き埋めにして窒息死させた強盗殺人罪で7月17日起訴
三原事件の動機借金を免れるため・口封じ

「信頼」の中で進行していた崩壊

川本健一さんは「従業員思いで、恨みを買う人じゃない」と評された経営者だった。その川本さんが後継者として信を置いていた義理のおいが、会社の金を8000万円のギャンブル損失の穴埋めに流用し、発覚を恐れて夫妻の殺害を計画し、実行役に使った知人まで生き埋めにした——それが捜査当局の描く事件の構図だ。

親族であり、従業員であり、後継者である。三重の信頼関係の内側から、この事件は起きた。

外部からの侵入者を警戒することはできても、「最も信頼する身内」からの悪意を予期することは難しい。栃木・上三川の強盗殺人が「外からの闇バイト」の恐怖だとすれば、この事件は「内からの崩壊」の恐怖だ。

公判では、否認する倉本容疑者と検察の全面対決が予想される。未解決ジャーナルは引き続きこの事件を追う。


【編集部注】

本記事は2026年7月19日時点の報道に基づきます。倉本幹太容疑者は三原事件(強盗殺人罪)で起訴されていますが、東広島事件については容疑を否認しており、有罪が確定したわけではありません。徳田雅希さんは東広島事件の実行役とされていますが、死亡しているため公判で反論する機会はなく、その点を踏まえてお読みください。

川本健一さん、徳田雅希さんのご冥福をお祈りするとともに、重傷を負われた川本さんの奥様の回復を願っています。

初出:2026年7月19日 / 未解決ジャーナル編集部

コメント

タイトルとURLをコピーしました