【2026年5月25日 最新情報】 栃木県上三川町の強盗殺人事件で、「指示役」とされる竹前海斗(28)・美結(25)夫婦と、実行犯の16歳少年4人の計6人が逮捕された。逮捕容疑は強盗殺人。本記事では各種報道をもとに、指示役夫婦の生い立ちと、なぜここに至ったかの軌跡をたどる。
田園地帯の家に押し入った4人組
5月14日、栃木県上三川町。田園地帯が広がり、風に揺れる稲穂の音が心地よく聞こえてくる、のどかな町。農業法人を経営する一家の住宅に、複数人の男たちが押し入った。
目出し帽を被り、長い棒を手にしていたという。狙われたのは富山英子さん(69)。胸などを刺され、20か所以上に殴打痕と刺し傷があり、一部は臓器にまで達していたという。富山さんはまもなく死亡。2人の息子も負傷した。一家が大切にしていた愛犬も殺害されたとされ、動物愛護法違反の可能性も指摘されている。
実行犯はわずか16歳の高校生4人だった。彼らはリアルタイムで「指示役」から連絡を受けながら、犯行に及んでいた。
その指示役こそ、神奈川県横浜市に暮らす竹前海斗容疑者(28)と、妻の美結容疑者(25)だった。
「目がなくなるほどの笑顔の少年」だった——竹前海斗容疑者の幼少期
竹前海斗容疑者は横浜市内で生まれ育った。3人兄弟の真ん中で、特に母親に溺愛されていたという。
NEWSポストセブンは小中学校の卒業アルバムを確認しており、そこには「目がなくなるほどの笑顔を浮かべる少年の姿があった。サッカーでやや焼けた肌のせいもあり、口元の白い歯がよく映えている」と描写されている。
小学生のころからサッカーに熱中し、体を動かすことが好きな少年だった。母親について、同級生はこう語る。「お母さんはけっこう若めな見た目で、平成ギャル系だった」。
中学生時代の海斗容疑者は、整ったルックスで他校の生徒からもモテていた存在だった。海斗の知人は週刊文春の取材にこう語る。
「海斗は小学生のころに『ジャニーズに入ってた』と言っていて、実際にモテモテでした。彼女が途切れないイメージで、友人よりも女優先でした」
実際にジャニーズ系オーディションを受けたという証言も複数あり、サッカー少年としての一面と、アイドル志望の華やかな一面を併せ持つ少年だったことがうかがえる。
高校中退と「ワルの道」——転落の始まり
中学卒業後、海斗容疑者は定時制高校に進学するも中退したとされている。その後は建設関係の仕事に就いたが、地元の友人関係の中で「ワル」としての立場を確立していった。
週刊文春の取材によれば、海斗容疑者の若かりし日の素行は以下のようなものだったとされる。
- 揉めた相手を待ち伏せして殴る蹴る
- 友人の家にカエルを大量に放つなどの嫌がらせ
腕には肘まで届く和彫りのタトゥー、首元には卍を含む刺青——その外見は、表社会から距離を置いた人物像を象徴するものだった。送検時の映像でも、メガネを掛けた坊主頭から覗く首元のタトゥーが確認されている。
2021年、海斗容疑者は女性絡みのトラブルで逮捕されたと報じられている。この事件を機に、地元の友人関係とも距離ができたとみられる。それ以降、海斗容疑者は表社会からさらに遠ざかっていく。
そして海斗容疑者は美結容疑者と出会い、結婚に至った。結婚に伴って苗字が「竹前」に変わったとされている(旧姓は別の名字との指摘がSNS上にあるが、報道では未確認)。
「将来の夢は薬剤師」だった少女——竹前美結容疑者の生い立ち
一方、妻の竹前美結容疑者(25)は、海斗容疑者とは対照的な環境で育っていた。
出身は長野県。JR長野駅から車で約20分ほどの閑静な住宅街で、教育熱心な母親のもと一人っ子として育った。母親は東京の有名私立大学を卒業したキャリアウーマンで、フランチャイズ式塾の経営や営業に関わっていたとも伝えられている。
小学生時代の美結容疑者を知る人は、「とてもはっきりしたいい子だった」と話す。
- 幼少期からバレエを習う
- 小学校高学年では合唱部に所属
- ダンススクールにも通っていた
- 卒業文集では「好きなこと・特技:バレエ」「将来の夢:薬剤師」と書いていた
近所付き合いも円満で、ある同級生の母親は「美結ちゃんが『おじいちゃんからもらった鯉を飼いきれないからもらって下さい』と持ってきてくれたこともあった」と回想する。
中学では強豪吹奏楽部に所属し、「面倒見のいいお姉ちゃん」として後輩からも慕われた。週刊文春が掲載した中学時代の写真には、強豪吹奏楽部のメンバーと並んでピースサインを向ける、屈託のない少女の姿があった。
高校は長野西高校に進学。バトン部は全国大会常連校で、美結容疑者も卒業後に後輩の指導に来ることがあったという。
ここまでは、地方の「教育熱心な家庭のしっかり者」という、極めてまっとうな成長の軌跡だ。
中学時代の親友と「特殊詐欺」——見えていた兆候
しかし、週刊文春の取材で重要な証言が出てきた。美結容疑者の小・中の同級生はこう語っている。
「美結が中学生の時からの親友のA子が4〜5年前に特殊詐欺で逮捕されているんです。そういうトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)との繋がりが前からあったのではないかと疑ってしまいます」
吹奏楽部の優等生だった美結容疑者の人間関係の中に、すでに犯罪世界と接続する糸が走っていた——という証言だ。「将来の夢は薬剤師」と書いていた少女の周辺は、彼女が知らないうちに、あるいは見て見ぬふりをしながら、別の世界とつながり始めていたのかもしれない。
「整形したい」「韓国人になりたい」——変質する自己像
美結容疑者は近年、SNSに大きく傾倒していた。週刊文春は美結容疑者が11個のSNSアカウントを操っていたと報じている。
そこで発信されていたのは、以下のような内容だった。
- 「整形したい」「韓国人になりたい」という告白
- タトゥーをチラ見せするダンス動画
- シャネルのネックレスを胸元に下げたギャル風メイクの写真
- 美容と金への執着
- 夫の不倫をほのめかす投稿
ダンススクールの月謝滞納や、BTSチケットの転売による資金調達といった行動も伝えられている。少女時代のまっとうな趣味(バレエ・合唱・吹奏楽・バトン)の延長線上にあるはずだった「ダンス」が、変質した自己プロデュースの手段になっていた。
逮捕時、美結容疑者は神奈川県内のビジネスホテルに生後7か月の女の子と一緒に身を潜めていた。事件直前の2025年10月、長女が誕生したばかりだった。
「もうそろそろパクられる」——逮捕直前の本音
事件発生から3日後、海斗容疑者は羽田空港から大韓航空便で韓国・仁川国際空港に向かおうとしていたところを、保安検査場内で身柄確保された。深夜2時発の便だった。
事件後、海斗容疑者は地元のコミュニティに対して、こんな言葉を漏らしていたという。
「俺、もうそろそろパクられる」
自分が捜査対象になっていることを察していた——あるいは「これだけのことをやればいずれ捕まる」という覚悟があったのかもしれない。海外逃亡を図ったということは、その認識を裏付ける。
実行犯の16歳少年4人のうち、一部は栃木県警の調べに対し「夫婦に実行を頼まれた」と供述している。さらに、逮捕された高校生Aの兄は週刊文春の取材にこう語った。
「Aはすごく優しい子で、日をまたいで帰ってきたことがないくらいマジメだった。でも、高校でBと出会って変わってしまった」
「弟はBから日常的に暴力を受けていて、支配されていたように感じます。事件前日も呼び出され、Bと竹前から顔の形が変わるほど殴られた。そのまま家に帰ってくることはありませんでした」
「家族を殺すと脅され…」という言葉も漏らされており、少年たちが純粋な「闇バイト」の参加者ではなく、暴力による支配下に置かれていた可能性が浮かぶ。
「上位指示役」の存在——夫婦は末端だったか
ここまで来ると一つの疑問が湧く。海斗・美結容疑者夫婦は、本当に「最上位の指示役」だったのか。
読売新聞は、海斗容疑者自身も「闇バイトの募集に応じて事件に加わった」可能性があると報じている。フジテレビの解説では「竹前夫婦はトクリュウの組織構造の中では末端に近い指示役(バイトリーダー)だった可能性が高く、その上に上位指示役がいるとみられる」と分析されている。
元刑事は「強盗殺人で逮捕された夫婦の上に、さらに上位の指示者がいる可能性を栃木県警は追っている」と指摘。夫婦の携帯端末に残るメッセージが、捜査の鍵を握る。
なお、犯行に使われたバールなどの凶器は夫婦が準備して少年たちに渡していたことが判明している。犯行当日の5月14日、海斗容疑者は少年4人と途中のサービスエリアで落ち合い、犯行の打ち合わせをしたとされる。
「ジャニーズ志望のモテ少年」と「将来は薬剤師の優等生」が辿った道
竹前海斗容疑者の人生軌跡——
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 幼少期 | 横浜市内で3人兄弟の真ん中として誕生。母親に溺愛される |
| 小中学校 | サッカー少年。ジャニーズオーディション受験。整ったルックスでモテた |
| 高校 | 定時制高校に進学・中退 |
| 卒業後 | 建設関係の仕事。素行が悪化し、待ち伏せ暴行などのトラブルを起こす |
| 2021年 | 女性絡みのトラブルで逮捕報道 |
| その後 | 美結容疑者と結婚。首・腕にタトゥー |
| 2025年10月 | 長女誕生 |
| 2026年5月14日 | 栃木強盗殺人事件発生 |
| 5月17日 | 羽田空港で逮捕 |
竹前美結容疑者の人生軌跡——
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 幼少期 | 長野県の閑静な住宅街で一人っ子として誕生。教育熱心な母 |
| 小学校 | バレエ・合唱・ダンスを習う。「はっきりしたいい子」 |
| 中学 | 強豪吹奏楽部。面倒見のいいお姉ちゃん。卒業文集の夢「薬剤師」 |
| 高校 | 長野西高校バトン部。後輩の指導にも来訪 |
| その後 | 親友A子が特殊詐欺で逮捕(4〜5年前)。海斗容疑者と結婚 |
| 近年 | 11個のSNSを操作。整形・韓国願望・タトゥー・ギャル化 |
| 2025年10月 | 長女出産 |
| 2026年5月17日 | 神奈川県内のホテルで身柄確保(生後7か月の長女と共に) |
ある「親子」の風景
逮捕後、美結容疑者の実家を女性自身が訪ねた記事には、印象的な場面が描かれている。マスク姿で俯きながら歩く実父の姿、手つかずの回覧板。「将来は薬剤師に」と娘の作文を読んだはずの両親の心境を、外野が想像することすら難しい。
竹前夫婦の自宅周辺では、近隣トラブルや警察沙汰が相次いでいたという証言もある。生後7か月の女児を抱きながら、夫婦は何を思って暮らしていたのか。
「ジャニーズ志望のモテ少年」と「将来は薬剤師の優等生」——出会わなければ平行線で別々の人生を歩んでいたはずの2人が、トクリュウという接着剤で結びつき、16歳の少年4人を「家族を殺す」と脅して使い、69歳の女性の命を奪うに至った。
その軌跡の中に、いつ、どこで決定的な分岐点があったのかは、今後の公判で明らかにされていくはずだ。
【編集部注】
本記事は2026年5月25日時点の各種報道(週刊文春、NEWSポストセブン、女性自身、読売新聞、FNN、時事通信ほか)に基づきます。竹前海斗・美結両容疑者は強盗殺人容疑で逮捕されていますが、有罪が確定したわけではありません。SNS上で拡散している情報の中には未確認のものも含まれるため、本記事では報道機関による取材結果に基づく内容のみを記載しています。
富山英子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
初出:2026年5月25日 / 未解決ジャーナル編集部


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